道路交通法上「軽車両」という立派な車の一種であるにも関わらず、昭和の交通戦争時代に車優先の交通施策から自転車を歩道に上げるという付け焼刃の対策が行われました。
社会基盤である公共交通機関のインフラ整備が立ち遅れる中、自転車は通勤通学の足として交通ルールやマナーが正しく教育されないまま急速に浸透拡大。
駅前放置自転車、二人乗り三人乗り、歩行者との接触事故、さらにはブレーキなし自転車(ピストバイク)など次々と社会問題化。
モグラ叩きのような対症療法が続いてきました。
今回の警察庁発表は、法解釈上は当然のことですが、あっちを走れ、こっちを走れと言われてきた多くの善良なサイクリストにとって、釈然としない気持ちです。
自転車は車両ではありますが、交通社会においては弱者の部類。
もちろん最弱者の歩行者保護は当然ですが、猛スピードで走る普通車や大型車に気をつけながら、ガードレールギリギリを走ったり、砂利やゴミやガラス片などが溜まった側溝を走らざるを得ない自転車を保護するインフラ整備にも積極的に力を入れて欲しいと思いました。
オランダのように国や自治体が環境と安全と利便性を天秤にかけて、一番ベターな選択をしていった歴史は示唆に富むものです。
今年の夏に放送されたNHKの番組には大変感銘を受けました。
先日のツール・ド・ちばの映像をYOU TUBEで検索していたら「我が物顔で連なって走る自転車がいい迷惑だ」というドライバー目線の投稿がありました。
交通ルールを守り、左側一列で走行する自転車にこうした目線を向けるドライバーたちの無理解も、サイクリストの命を危うくするものです。
私自身、中年女性が運転する軽自動車がウインカーも出さずに目の前で左折し、巻き込まれて宙を舞い、怪我をしたこともあります。
私は車もバイクも乗りますし、もちろん歩くのも大好き。
いつも自分が他の交通からどう見られているか(あるいは見えていないか)、という意識がとても大切だと思っています。
今こそ交通社会における国民的意識改革が求められる時代です。
私たち一人一人が自転車の利便性と危険性を理解し、歩行者、ドライバーと健全に共存できる社会を作っていきたいものです。
以下参考記事
自転車の歩道走行には注意、摘発も…警察庁発表(読売新聞)
クローズアップ2011:「自転車は車道」通達 市民の認識徹底へ(毎日新聞)